Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「お蔭さまだよ」
「何う致しまして」
「宮地さんがお帰りになるまで二階で新太郎の相手をしていておくれ」
と母親は命じて奥へ急いだ。
二階へ戻るや否や、新太郎君は座蒲団を床の間の前へ押し進めて、
「さあ、何うぞ」
と寛一君を請じた。
「何ういう意味だい? これは」
「上座さ。恩人だもの」
「現金だね」
と笑ったものゝ、寛一君も悪い心持はしない。
「しかし宜かった。僕も安心したよ。お芽出度う」
と改めて祝意を表した。
「有難う。長いこと御苦労をかけた。この通り手をついてあやまる」
「もうよせよ」
「ところで今度は僕が君の為に一つ運動する」
「僕は今貰っても仕方がない」
「おっと、早まるなよ」
「それじゃ何だい?」
「お礼の為に君を洋行させる」
「今夜は能く洋行のことを言うが、一体何ういう次第だね?」
「実はガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーが出掛けるんだよ」
と新太郎君は先刻父親から聞いた通りを話して、
「何うだい? 君は気があるか?」
「あるとも。洋行は世帯を持たない中に限る」
「おれは世帯を持てば洋行なんかしなくても宜い」
「ハッハヽヽヽ。天真爛漫だね。それで僕に譲ってくれるのか?」