Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
君、脈があるどころじゃないぜ。何うも君は他のことだと思って諦めが好過ぎるから困るよ。とはいうものゝ、実は僕も昨日は悲観した。一晩寝られなかったよ。真正に神経衰弱になるのかと思ったくらいだ。しかし今日は悉皆持ち直したから、君も安心して僕の見識を立てゝくれ給え。
今朝海へ行く途中、
「秀子さん、あなた未だ昨日のこと憤っていらっしゃる?」
と僕は恐る/\君の所謂チョッカイなるものをかけたのさ。
「えゝ」
と来たぜ。秀子さんは純情だから些っとも匿さない。それから後の問答にお目を留めて御覧じろ。
「秀子さん、考えて見ると僕何とも申訳ありません」
「申訳がないと気がついたら、人間は何うするもの?」
「謝罪するものです」
「案外常識が発達しているわね」
「お褒めにあずかって恐れ入ります」
「あら褒めたんじゃなくてよ。あなたなんか褒めて上げるもんですか」
「恐れ入りました」
「要求したんですよ」
「何の要求ですか?」
「知らない!」
「ねえ、秀子さん、何の御要求です?」
「矢っ張りあなたは乙の頭ね」
「恐れ入ります」
「恐れ入ってばかりいて図々しいのね。謝罪の要求よ。昨日のことおあやまりになったら宜いでしょう?」