Japanische Klassiker mit Furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme
家は玉造りと呼び、父の名は五百助、母の姓氏は伝わっていない。この家は古くから瑪瑙石や瑠璃や琥珀などを玉に磨いたり、細工物にこしらえたりして京へ売り出すのを業としていた。八百助は彼らのひとり息子であるが、なんとしたことか生まれながらの跛で、二つの年に片眼をつぶし、五歳の秋から傴僂になった。母親はつねに嘆いて、
「どうも腑におちない」
と云い云いした、
「――洞瀬山の曾古津様に祈って身籠った子なのに、こんな躯になるなんてどうしたわけだろう」
幼な心にも絶えずこれを聞いていた八百助は、七歳になると洞瀬山の曾古津神社へ掛合いにいった。その祠は山の頂上に近い杉の森の中にある、彼は不自由な躯でえちえちとたどり着き、七歳の知恵と七歳の舌と音声とで御神躰に抗議を呈し、その五躰の修正を頼んだ。ところがそれは十月のことで、神という神は出雲の親方の家へ一年の収支決算をするために出掛けた留守だとわかり、十一月になると改めて頼み直しにいった。諸君も御存じのごとく神ほど吝嗇で空耳つかいで無精な独善家はない、曾古津様は出雲の親方から配当でももらったものか小さな祠の中に寝そべったままうんともすんとも答えなかった。