Japanische Klassiker mit Furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme
と挨拶を始めた、もちろんこの冗々漫々たる自慢演説は省略するが結論に及んで、
「このたび下松の成木殿と祝言の式を挙げることに相成り」
というとこまできたとき、その座敷のまんまん中から、
「それはできない事ですよ」
と云う者があった、「だっておせんは私と結婚しているんだから――」変にしわ嗄れた低い声だが、部屋のすみずみまではっきりと聞こえた。客も主じもびっくりして振り向いた、そしてついそこにその座敷のまん中に八百助が坐っているのを見て、こんどは本当にびっくりし仰天して見直した。まぎれもなく八百助である。傴僂でめっかちで跛、一年まえこの村から煙のように消えた玉造の八百助である。彼はあの時よりむさくるしくみじめな恰好だ、髪は伸び放題、手足は垢だらけ、着物はぼろぼろで、乞食ならばさぞいい稼ぎができるだろうと羨ましくなるような風態である、
「私とおせんとは三年まえに婚約し、五千両という契約金が渡してある、そればかりじゃない権右衛門は総後見、二人の息子が後見と相談役になっていちどおせんは家へ嫁に来た、それはここにいる人たちも知っているはずだ、捜しこわした家や売りのみにした田畑のことは云わない、そしてまだ初枕を交わしたこともないがおせんは八百助の女房だ」