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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうたく

荷風随筆集(下)〔全2冊〕

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(下)〔全2冊〕 (しょうたく) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.633 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

等しき悪名が、今はもっけの幸に、高等遊民不良少年をお顧客の文芸雑誌で飯を喰う売文の奴とまで成り下ってしまったが、さすがに筋目正しい血筋の昔を忘れぬためか、あるいはまた、あらゆる芸術の放胆自由の限りを欲する中にも、自然と備る貴族的なる形の端麗、古典的なる線の明晰を望む先生一流の芸術的主張が、知らず知らず些細なる常住坐臥の間に現われるためであろうか。(そは作者の知る処に非ず。)とにかく珍々先生は食事の膳につく前には必ず衣紋を正し角帯のゆるみを締直し、縁側に出て手を清めてから、折々窮屈そうに膝を崩す事はあっても、決して胡坐をかいたり毛脛を出したりする事はない。食事の時、仏蘭西人が極って Serviette を頤の下から涎掛のように広げて掛けると同じく、先生は必ず三ツ折にした懐中の手拭を膝の上に置き、お妾がお酌する盃を一嘗めしつつ徐に膳の上を眺める。

小な汚しい桶のままに海鼠腸が載っている。小皿の上に三片ばかり赤味がかった松脂見たようなもののあるのはである。千住の名産寒鮒の雀焼に川海老の串焼と今戸名物の甘い甘い柚味噌は、お茶漬の時お妾が大好物のなくてはならぬ品物である。