Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

あたい、もうその人がとても急に怖くなって了った。こんな人のことをぐれんたいというんだなと思い、がたがたハンド・バッグを提げている手がふるえて来たわ。」

「一さい口を利かなかった方がよかったのだ、きみは一々返事をしたことがおぼこに見えたんだよ、何処までもきみはこどもくさいからね。」

「それでね、大森に降りたら、白木屋の入口で待っていろというの、あたい、もう黙って返事をしなかったわ。そしたら、待つか待たないか返事をしろと迫るの、あたい、もう誰かにたすけて貰おうかと思ったけど、例の肩の手がはなれないんですもの、だから、こんどは出口の方に行ってみると、すぐついて来たわ、そのついて来方があんまり早いもんだから、乗客は誰もふしぎそうに見る者は一人もいないんです。硝子戸に顔をくっつけていると、硝子が曇っちゃって、あたいの心と同じ色になっちゃった。」

「それから男はどうしたい。」

「大森に着く前にもう一ぺん念を押していったわ、白木屋の前に来なかったら、ただじゃ置かないと、省線に張り込んでいるからそう思えと言ったわ、あたい、下車するとバスの停留場まで趨ったわ、うしろ向くと捕まえられると思ってがたがた趨った。