Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

それらは或る小説の或る機会にうまく融け合ってくれるもやもやなのである。このもやもやを沢山持ち其処から首を浮べて四顧している者が、作家という者だと言えそうである。

このもやもやは「蜜のあわれ」にまだ豊富にあることで、もう私は沢山という気がした。そして当然ここでペンを擱くべき日の来たことを知り、それにすら名残りが留められたのである。作家の慾はふかく実力はあさい、あさい才能の中で何時もどたばたする自覚を失っていることでは、余計な作為が分不相応に自分の中に暴れ廻っていることも、冷やかに眺めて通り過ぎる者も作者なのである。作家というものの五体のところどころには不死身の箇処があって、幾ら年月が経っても死なない部分だけが、色を変えずにつやつやと生きている。それがどのように狭小な部体であっても、深度があり記憶は素晴しい、へどもどして行き詰まるとそこを敲きさえすれば、扉はひとりで開き、中の物が見え聴える音は聴え、たすけを呼ばなくともたすけて呉れるのである。この痣のような癌に似た不死身の一処をさすりながら、彼は生き彼は書き、ありもしない才華へのあこがれに悶えている残酷さである。