Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

に取り附かれ、ばかはばかなりに、悧巧ぶった考えを持とうとしていたが、悪小説家の悪癖は日を趁うて「赤い風船」の聖地から離れて往った。そして日々の忙殺は「赤い風船」の喜びもまた私の頭からあと形もなく飛散して了ったのである。

だが、私はついに「赤い風船」を今日思い当てて、いつぞや、こういう物が書きたい願いを持っていたが、お前が知らずに書いた「蜜のあわれ」は偶然にお前の赤い風船ではなかったか、まるで意図するところ些かもないのに、お前はお前らしい赤い風船を廻して歩いていたではないか、お前だって作家の端くれなら、或る日或る時にひょんな事から感奮して見た映画の手ほどきが、別の形でこんな物語を書かせていたではないか、一旦書いて見たいという考えを作家が持つということは、作家と名のつく人間にはいつかは仕事の上に、何等の覚性もなく、ひとりでにこんがりと、色つやをおびて現われて来る機会があるのではないか、そしてその事が仕事が終った時にやっぱり風船はとうに頭の奥ふかくに取りついていたことが判るのだ。心が覚えをこめていたということは大したことなのだ。そして私は愛すべき映画「蜜のあわれ」