Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「よくおわかりね、おじさまは。」

「何だ、人の顔をじっと見詰めたりなんかして、へんな子だ。」

「その方をお廊下の方におさそいして、憩ませておあげしたの、もう、おじさまのお話が済んだ後だったから、クッションの上で永い間お話したわ、水のようにお廊下に人気がなくて、その方の顔の色があたいの五体にしみ亘るほど、へんに冷たかった、おじさま、その方は一体誰だとお思いになる、……」

「さあ、誰だかね。」

「おじさま、言って上げましょうか。」

「妙な顔をするじゃないか、知っている人なら早く言いたまえ。」

「吃驚しないでよ、田村ゆり子という方なのよ、とても鼻すじのきれいな方、あら、おじさまの眼の中がきゅうに動くのが停っちゃった。」

「田村ゆり子」

「そうなのよ、田村ゆり子っていう方なのよ、どう、吃驚したでしょう。」

「自分から田村ゆり子と名を言ったの、」

「あたいがお訊きしたからよ、そしたら水筒の水をおあげしたときに、上山って書いてあったのをお読みになったらしいわ、きゅうに眼をあたいにじっとそそいで、こう、おっしゃったわ。あなたは上山さんの誰方だとおいいになったから、あたい、おじさんの事何でも見てあげている者だといったら、お幾つとお聞きになり、あたい、十七歳だとおこたえしたわ。