Japanische Klassiker mit Furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme
」
「見た、たしかに田村ゆり子だ、幾らぼやけたって嘘のない顔だ。」
「おじさま、何か仰有い、おじさまの仰有るのを待っていらっしゃるふうだわ、あ、お口が少しずつあいた、お微笑いになった、おじさま、腰をかがめて遂に挨拶なすったじゃないの、おじさまもご挨拶をなさい、早くよ、早くするのよ、笑ってお上げするのよ、なんて臆病なおじさまなことか、やっとしたわ。おばさまの嬉しそうなお顔ったらないわ、ふだん、あんなお顔で微笑っていらっしったの、凄い美しい顔だナ。」
「きみ、呼んで見たまえ。」
「おじさまが呼んで上げるのよ、あら、おばさま、其処の煉瓦塀の穴は抜けられないわよ、おからだに傷がつきます、あたい、其処にいま行きますから。」
「行ってつかまえてくれ。」
「死んだってはなさない心算で、お手々にぶら下がるわ、おじさまもいらっしゃい。」
「うむ。」
「おばさま、其処の穴は欠け石でがじがじして危いったら。抜けたって向う側はどろどろ川なのよ、墜っこったら死んじまう。」
「くぐったね、早いね。」
「あ、穴の外に潜って出ちゃった、あれ、水の音じゃない、ごぼんといったのは?」
「そう、水の音響かな。