Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうか、」

「おじさまの胃潰瘍だってあたいが入って行って、舐めて上げて、お薬をたんと塗って上げたから、治ったのじゃないの、あたいの燃えた燐があんな大きい胃袋の傷まで、お治ししてしまったじゃないこと、なに言ってんの、そんな濃厚なお菓子まで召し上れるようになったのも、みな、あたいの燐のせいなのよ。」

「それに病院のくすりの事も、わすれてはならないんだ。」

「病院の薬はただの物質だわよ、あたいの燐と、鱗のぬらぬらは、みんな生きているぬらぬらなのよ、いちど胃腸にはいっていったら、あたい、めだかのように憔悴して出てくるの、おじさまにそれが判らないの。」

「判るよ、大きな声を出すと、ほら、またあの人が笑うじゃないか。」

「あの方、ここに呼んでみるわ、誰も来もしない人を俟つなんて、どうかしている。」

「話しかけるのはよしなさい、なれあいの金魚みたいに、人間はすぐ友達になれるもんじゃない。」

「それもそうね、あたい達はすぐお友達になってしまうけれど、人間はそうはかんたんには、お友達になれないわね。」

「きみ電話だよ、歯医者の治療時間なんだ。」

「じゃ、行ってまいります。此処にいてね、四十分くらいかかるけれど、きょうで、もうお終いだから我慢してね。