Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「じゃ、あの女におあげになったケースの中にあったお金ね、あれだけ、あたいにも、くださらない。」

「あれは偶然にそうなったんだが、いま更めてそう切り出されると、ごつんと閊えてくるね、こだわりが感じられてすらすらと出せない。」

「知らぬ人にお金をあげていて、あたいに、ぐずぐず言ってくださらないなんて、そんな法ないわ。」

「その内に出してよいものなら、出すことにする。」

「一たい、あのケースに幾ら入っていたの、あたい、それと同じくらいのお金戴きたいわ。」

「同じくらいなんて莫迦言いなさんな。」

「だから幾らあったのか、それを言ってよ。」

「よく覚えていないね、ねじこんで入れて置いたんだからね。」

「自分のお金の高が判らないなんて、そんな鈍間なおじさまじゃないでしょう、はっきり正直にいうものよ、指だけはいっていたんでしょう。」

「そんなにはいるもんか、二つ折りにしてあったんだから。」

「じゃ、これだけ?」

「それも当らないよ、まあ、二本くらいが精々なんだ。」

「嘘おっしゃい、ほら、また曖昧な眼附をして、お外らしになった、ちゃんと、どんな時どんな顔色をなさるかっていう事、毎日研究しているから解るのよ、これだけは確かにあった、……」