Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「きみは晩には水にかえってゆくが、かえって往くことを何時だってわすれたことがないね。」

「そしたら死ぬもの。」

「きみを何とか小説にかいて見たいんだが、挙句の果にはオトギバナシになって了いそうだ、これはきみという材料がいけなかったのだね、書いても何にもならないことを書いて来たのが、まちがいの元なのだ、おじさんの年になっても未だこんな大きい間ちがいを起すんだからね、うかうかと小説というものも書けないわけだ、何の某がどうしたああしたとか、不二子さんとか令子さんがああしたこうしたとも、もう極りが悪くて書けないし、いよいよ、おじさんの小説もこんどこそお終いになったかな。金魚と揉み合ってのたれ死か。」

「はたき尽してあるだけ書いておしまいになったから、あたいを口説いたんじゃないこと、誰もほかの女に持ってゆくには、あまりにお年がとりすぎているから、けんそんしてあたいを口説いて見たわけなのよ、そしたら金魚のくせに神通自在で、ひょっとしたら人間よりかなお知る事は知っていると来たのでしょう。で、書くことの狙いが外れちゃった訳でしょう。」

「はかないね、小説家の末路というものははかない、いま恰度、其処を何も知らずに、僕は帽子をかむって、てくてくほっ附き廻っているようなもんだ。