Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme

Aozora Bunko

京都の病院で手術して死んだ方だと申し上げて置くわ。」

「あの時にも、手紙一本下さらなかった。」

「だってあんたは外の方と朝鮮まで、かけ落ちまでなすったのでしょう。おじさまを打っちゃらかしておいてね、そして四十年振りに手紙をくれと仰有るのは、無理だわよ、書くにも、書きようもなかったらしいんですもの。」

「あの時は手術後で、わたくしは弱って死にかけていました、そんな時妙なもので不意にあの方の手紙が読みたくなったのです。生きた人間の書いた字というものが人間の死際にも、きゅうに見たくなって来る時がございますもの。むかし沢山いただいた手紙に、まだ洩れている何枚かがあるような気がして、それを書いていただきたかったの、そしてまだわたくしという者がその中にほんのちょっぴりでも、のこっていたらそれを読んで死にたかったんです、わたくしは毎日の注射でいのちをつないで、お手紙ばかり待っていました、二日生き三日生き、そしてお手紙を待っていたんですもの。」

「それがとうとう最期まで来なかったのね、あんなに女にあまいおじさまがそんな薄情なことが、平気でしていられるのかしら、想像も出来ないわ。