Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくめんのぶとうしゃ
覆面の舞踏者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 覆面の舞踏者 (ふくめんのぶとうしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.827 Zeichen · 30 Bildschirme
「危険を感じます、かね」
そして、またもや笑声が起りました。
それらの会話を聞く内に、私は最早やじっと坐っているに耐えなくなりました。多分私の顔はまっ青であったことでしょう。これですっかり事情が分りました。井関さんは、あんなに自信のあるようなことを云っていますが、どうかした都合で、私だけ相手が間違ったのです。自分の女房の代りに春子さんと組合ったのです。私は運悪くも、偶然、恐しい間違いに陥されてしまったのです。
「だが」私はふと、もう一つの恐しい事実に気づきました。冷いものが、私の脇の下をタラタラと流れました。「それでは、井上次郎は一体誰と組んだのであろう?」
云うまでもないことです。私が彼の妻と踊ったように、彼は私の妻と踊ったのです。オオ、私の女房が、あの井上次郎と? 私は眩暈のために倒れそうになるのをやっとこらえました。
それにしても、それはまた、何という恐しい錯誤でありましょう。挨拶もそこそこに、井関さんの家を逃れ出した私は、車の中で、ガンガンいう耳を押えながら、どこかにまだ、一縷の望みがあるような気がして、いろいろと考え廻すのでありました。
そして、車が家へつく頃、やっと気がついたのは、例の番号札のことでした。