Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
が、立ち止った。
喧嘩別れはいけない、と青年は計算した。たしかに、今はさんざん利用したこの婆あと別れるいいチャンスだ。しかし、このままぼくが出て行ったら、婆あめ、なにをしでかすか知れやしない。なにしろアタマに来ちゃっているらしいし、どんな突飛な方法で、おれたちのことをバラしにかかろうとするかわからないぞ。それに、いくらもうダメになった歌手とはいえ、まだまだマス・コミにも知り合いは多いはずだ。そうだ。ここはなんとかうまくごまかさなくちゃいけない。
青年は、けんめいに情けないみたいな、甘えたような笑顔をつくりあげて、彼女を振りかえった。
「……先生」と、彼は悲しげな声を出した。「どうして先生は、ぼくを信じてはくれないの? ぼくにとって、先生以外の女性なんていないってこと、先生がいちばんよく知っているはずじゃありませんか。いまのぼくに、暇をつくるのがゆるされないことだって、先生ならよくご存知のはずだ。それを、……いやだ、ぼくは先生を愛している」
彼女は、はじめて顔をあげた。青年は大げさにその膝にとりすがった。
「もしぼくに身体が二つあったら、いつでもぼくは先生といっしょにいられるのに。