Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
しかし、車は支障なく走っていた。しだいに山は深くなって、凝結した血のような野生の葉鶏頭が、ところどころに赤い色を輝かせて窓の外を後ろへと飛び去る。
「……この車が、いけないんだ」
不意に夫がいい、妻は笑いだした。
「じゃ、早く売りなさいよ、そんなに癪にさわるのなら」
「売るもんか」
と、言下に夫は答えた。
「売ったって、せいぜいやはり三、四万だ。あとの金は捨て金になっちゃう。いや、計算したら、もっとひどいマイナスにしかならない」
「金利のこと? そろそろ車検も必要よ」妻は、笑い声をさらに大きくした。「ケチね、貴方って、ほんとに。……使ったお金ぐらい、自家用車の気分をたのしんだ費用だと思えばいいじゃないの」
「ケチっていうんじゃないんだ。ただ、もっと有利な処理を考えているのさ」夫は真面目な声でいった。「僕は、いったん自分のものにしたやつは、おいそれとは手放したくないんだ。……よっぽど有利な補償でもないかぎりは、面白くないのさ」
ふと、妻は黙った。一台の国産車が追い抜き、みるみるそれが小さくなる。
「それに、やはり情も移っている。……買いたての頃は、よく君とドライブをしたね。