Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
甚兵衛はがっかりして家に戻ってきて、とんだことになったと溜息をつきながら、しみじみと馬の顔を眺めました。この馬はやがて悪魔のために腹を破かれるのかと思うと、悪魔に宿を貸したのが後悔されたり、馬と別れるのが悲しくなったりして、いつまでも一心に馬の顔を眺めていました。馬は重そうな大きな腹をして、やはり甚兵衛の方を悲しそうに見ていました。
するうちに、馬の顔を一心に見入っていた甚兵衛は眼がくたぶれてきてぼんやりして、思わず大きなあくびを一つしました。それにつれて馬も一緒にはーっと大きなあくびをし始めました。はっと気付いた甚兵衛が、しめた! と叫ぶと同時に、馬の大きな口から、まるまる肥え太った悪魔の子が、ひょいと飛び出してきました。
「甚兵衛さん、長々馬の腹を借りて、ほんとにありがとうございました。お礼のしるしに、これからあなたの黒馬は百倍の力になりますよ」
ぴょこんと不格好なおじぎをして、傷のなおった尻尾を打ち振りながら、宙に飛びあがったかと思うまに、悪魔の子はどこへともなく飛び去ってしまいました。
その後姿を見送って、甚兵衛はあっけにとられてぼんやりしていましたが、ひひんと一声高く馬がいなないたので、初めて我に返って、馬の頭を撫でてやりながら、あはははと大声に笑い出しました。