Japanische Klassiker mit Furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
五
「危いですよ、そんな……」青年は、もう別荘地の道に出るので、夫人の無謀を制しようとすると、夫人はわざと一鞭くれた。
競走馬上りだけにかんのいい牝馬は、すぐ駈足になって戞々たる馬蹄の音を立てながら前川邸近い森の中に走り入ろうとしたように見えたが、何人かの悲鳴が聞えると同時に、たちまち馬が、竿立になり、タッタタッタと、二、三歩後退した。
五
ちょうど、別荘から出て来た新子と、折悪しく夫人の馬とが、出会頭になったのだ。
夫人も必死に馬を止めたらしく、ちょっと口が利けないほど、驚いているし、新子はあわてて馬を避けた拍子に、背後へ倒れかかったらしく、そこにある白樺の太い幹へ、十字架にかかったような姿勢でよりかかって、痛そうに顔をしかめ、鷺のように片足で立っているのだった。
青年は驚いて馬から降りると、手早く馬を傍の木につなぎ、
「蹴られたんですか。」と、不安そうに、新子に近づいた。
「大丈夫よ。ただ、不意だったから、びっくりなさったのよ。ねえ、怪我なんかないでしょう。」さすがの夫人も、あなやという思いをして、胸をとどろかせているのに、なお平生の虚勢を捨てないのだった。