Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうしゅうのしじん よさぶそん
郷愁の詩人 与謝蕪村
萩原 朔太郎
Lesen Sie 郷愁の詩人 与謝蕪村 (きょうしゅうのしじん よさぶそん) von 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.038 Zeichen · 78 Bildschirme
柳散り清水かれ石ところところ
冬の部
凧きのふの空の有りどころ
柳散り清水かれ石ところところ
秋の日の力なく散らばっている、野外の侘しい風物である。蕪村はこうした郊外野望に、特殊のうら悲しい情緒を感じ、多くの好い句を作っている。風景の中に縹渺する、彼のノスタルジアの愁思であろう。
冬の部
凧きのふの空の有りどころ
北風の吹く冬の空に、凧が一つ揚っている。その同じ冬の空に、昨日もまた凧が揚っていた。蕭条とした冬の季節。凍った鈍い日ざしの中を、悲しく叫んで吹きまく風。硝子のように冷たい青空。その青空の上に浮んで、昨日も今日も、さびしい一つの凧が揚っている。飄々として唸りながら、無限に高く、穹窿の上で悲しみながら、いつも一つの遠い追憶が漂っている!
この句の持つ詩情の中には、蕪村の最も蕪村らしい郷愁とロマネスクが現われている。「きのふの空の有りどころ」という言葉の深い情感に、すべての詩的内容が含まれていることに注意せよ。「きのふの空」は既に「けふの空」ではない。しかもそのちがった空に、いつも一つの同じ凧が揚っている。即ち言えば、常に変化する空間、経過する時間の中で、ただ一つの凧(追憶へのイメージ)だけが、不断に悲しく寂しげに、穹窿の上に実在しているのである。