Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうしゅうのしじん よさぶそん

郷愁の詩人 与謝蕪村

萩原 朔太郎

Lesen Sie 郷愁の詩人 与謝蕪村 (きょうしゅうのしじん よさぶそん) von 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.038 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

藪入りの寝るや小豆の煮える中

という句を作り、さらに春風馬堤曲を作る蕪村は、他人の藪入りを歌うのでなく、いつも彼自身の「心の藪入り」を歌っているのだ。だが彼の藪入りは、単なる親孝行の藪入りではない。彼の亡き母に対する愛は、加賀千代女の如き人情的、常識道徳的の愛ではなくって、メタフィジックの象徴界に縹渺している、魂の哀切な追懐であり、プラトンのいわゆる「霊魂の思慕」とも言うべきものであった。

英語にスイートホームという言葉がある。郊外の安文化住宅で、新婚の若夫婦がいちゃつくという意味ではない。蔦かずらの這う古く懐かしい家の中で、薪の燃えるストーヴの火を囲みながら、老幼男女の一家族が、祖先の画像を映す洋燈の下で、むつまじく語り合うことを言うのである。詩人蕪村の心が求め、孤独の人生に渇きあこがれて歌ったものは、実にこのスイートホームの家郷であり、「炉辺の団欒」のイメージだった。

葱買つて枯木の中を帰りけり

と歌う蕪村は、常に寒々とした人生の孤独を眺めていた。そうした彼の寂しい心は、炉に火の燃える人の世の侘しさ、古さ、なつかしさ、暖かさ、楽しさを、慈母の懐袍のように恋い慕った。