Japanische Klassiker mit Furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme
を頼りにわずかに安心するほかはなかった。
よくよく糟谷は苦悶につかれた。遠いさきのことはとにかく、なにかすこしのなぐさめを得て、わずかのあいだなりとも、このつかれのくるしみを忘れる娯楽を取らねば、とてもたえられなくなった。酒好きならばこんなときにはすぐ酒に走るところだが、糟谷は酒はすこしもいけない。
糟谷はとうとう神楽坂に親しい友人をたずねた。そうしてつとめて、自分が苦労してる問題に離れた話に興を求め、ことさらにたわいもないことを騒いで、一晩ざる碁をたのしんだ。翌日もざる碁をたのしんだ。
糟谷はその後日曜たびにかならず上京しておった。かくべつ用がなくても上京しておった。種畜場近郷の農家から、牛がすこしわるいからきてくれの、碁会をやるからきてくれのとしきりにいうてきたけれど、いっさい村落へでなかった。土曜日日曜日をうかがって、遊びにくるものがあってもたいていは避けて会わないようにした。
胸中に深刻な痛みをおぼえてから、気楽な悠長な農民を相手にして遊ぶにたえられなくなったのである。
糟谷はついに東京に位置を得られないうちに、四月上旬非職の辞令を受け取った。