Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

殺してしまってください。もう生きがいのないわたし、あなたが殺されなけりゃわたしが殺す……。こうさけんで母は奥座敷へとび去った。……礼子と下女は泣き声あげて外へでた。糟谷も殺すの一言を耳にして思わず手をゆるめる。芳輔は殺せ殺せとさけんで転倒しながらも、真に殺さんと覚悟した母の血相を見ては、たちまち色を変えて逃げだしてしまった。

礼子は外から飛び込みさまに母に泣きすがった。いっしょけんめいに泣きすがって離れない。糟谷も座につきながら励声に妻を制した。隣家の夫婦も飛び込んできてようやく座はおさまる。

糟谷はまだ手をぶるぶるさしてる。礼子はただがたがたふるえて母を見守っている。母はほとんど正気を失ってものすさまじく、ただハアハア、ハアハアと息をはずませてる。はっきりと口をきくものもない。

ようやくのこと糟谷は、

「増山さん(となりの主人)いやはやまことに面目もないしだいで、なんとも申しあげようもありません」

「いやお察し申しあげます、いかにもそりゃ……まことにお気のどくな、しかし糟谷さんあまり無分別なことをやってしまっては取りかえしがつきませんよ、奥さんはよほど興奮していらっしゃるから、しばらくお寝かしもうしたがよろしいでしょう」