Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme
だがこれもタレントに出る仕儀となり、十一月三日の宮中授賞式の終った夕、さて、迎えの車で局へ出かけようとすると、折ふし小宅に集まって飲んでいた友人三、四十人のいる中で、永井龍男氏が例の諧謔口調で「みなさん、あとでテレビをさかなに拝見していましょう。きッと今夜の吉川さんもステージで泣きますからね」と、前ぶれを披露した。私は言下に「泣くもんか」と、笑った。自信はなかったがそういった。すると永井氏は「いや、きっと泣く。賭けをしてもいい」と、ひどく力んで「あの番組へ出ると誰でも泣くんだ。あれは“鐘は鳴る”ではなくッて――ここに彼は泣く――という番組なんですからね」と、いかにも、唾にくるまれた上等なコニャックが喉から落ちて胸におさまったような顔して言った。かくて彼らのオサカナにもなった当夜の私は、やはりステージでは「永井め、永井め」と思いながらもつい何度かは瞼のへんがおかしくなった。
「どんなふうでした?」と皇居における授章式のもようなどもよく人に訊かれるところである。それは思いのほか和やかな時間でまた決して拝受者が上がッたりするような物いかめしい儀式ではない。