Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

この日、私は、三人の異相を観た。岡潔氏もすこぶる異相な学者だが、佐藤春夫氏もまた文壇ではもっとも異相非凡に属するほうの大人である。それと総理の池田さんであるが、この人の耳がいい。耳の穴から石菖のような根づよい黒毛が叢をなして突出している。いささか国事の難を託するに足る人かとおもった。「たれかがあなたの奥さんにかんしんしていました」と言ったら、この人もまた日本の亭主族らしい。「みなさんがそう申しておりますよ、わたくしよりはって」

食いしん坊の獅子文六氏が「どうでした、ご陪食のお料理は」と、あのあくる日さっそく私に訊いた。それはもう一般社会人のほうがはるかに今日ではおいしいものを喰べている、ご鄭重ではあるがかくべつではありません。と私が答えると、彼は「秋山徳蔵君も大膳寮にはいるんだが、そうかなあ」と小首をかしげた。誰もが、さぞと思うことらしい。しかしメニューばかりでなく、室の調度や壁面にしても、仮皇居ではあるにしろ、じつにご質素なものでしかない。陛下もまた、お身なりには至って無関心のほうで、ネクタイがまっすぐに拝されるのも、ごく近ごろのご習慣だそうである。