Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

「ところで、お安さん、今日いるかね。」

「さあ、いるでしょ。わたし、昼間はあすこにいないのよ。」

そう気安そうにいってもらいますまいという顔だ。

「ほう、ひまとったんかね。」

「いいえ、わたしはじめっからおいてもらってるだけですわ。そのうち、部屋かりるのよ。」

「じゃあ、おつとめかね。」

「ええ、まあね。そのうちもっといいところへかわるつもりですけど。」

「ほうお。うちらの二三子もしょっちゅう職安へいってるがね。どっかないかね。」

「今はなかなかね。でもわたしはありそうよ。栗本のおじさんの会社よ。本屋さんなの。」

だれに聞けというのか、ふたりともいい気持そうな大声だった。注文聞きにきた小女が笑いながら、

「なににいたしましょう。」

兵六さんは急に気を大きくして、

「五目そばだ。おねえちゃん、おごるよ。」

浜子の名前を思い出さぬらしくいう。

「わたしは冷たいのたのんだわ。――ほらきた。失礼しますね。」

浜子はさっさとたべおわり、さっと立ち上って、

「ごちそうさま。わたしがここにいたこと、栗本さんでいわないでね。」

腹ができるにしたがって兵六さんの顔は急に元気づいてきた。