Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
ちょっとまってください。」
こちらでは安江と音枝が声を忍んで笑っていた。客がたれか、もうわかっていたからだ。夏樹だけはひとりしんこくな顔をして、足をさするのを忘れて聞き耳たてている。
「あのう、ワシっていうんですけれど。」
浜子は突っ立ったままげらげら笑う。
「なによ、笑ったりして、失礼じゃないの。」
と、たしなめながら、安江もつい笑ってしまった。玄関へは音枝が出むかえて、
「さ、おじさんどうぞ。鷲なんて珍らしいみょう字だもんで、知らないものはおかしいんですよ。」
台所の方へかけこむ浜子に聞かせるためにもわざととりなすようにいったのに、音枝の心づかいに気づかなかったのかひなた縁にすわったまま客を迎えた安江は、
「ああ、珍らしいわね兵六さん。しばらくでしたね。さ、こっちのあったかい方へどうぞ。」
夏樹が急に向きをかえて客と母とを見くらべはじめた。そして安江の耳もとに口をよせ、
「お客さん、ひょうろくって名前?」
それをひじでおしやりながら安江は、もう六十をこしたはずの客をひなたの座ぶとんに招じた。台所では音枝と浜子がはいまわっているらしい。それを気づかせないためにも安江はしゃべらねばならない。