Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
寒気を凌ぐ為に落葉を焚く者もあった。
けれども、巡査は流石に屈しなかった。七兵衛も頑丈であった。二人が先ず窟の奥へ潜り入って、第二の石門まで仔細に検査したが、内には暗い冷い空気が漲っているのみで、安行の姿も見えなかった。市郎の影も見えなかった。
「どうしたのだろう。」
二人は愈よ不安を感じて、そこらを頻に見廻す中に、彼等も例の岩穴を見付けた。念の為に用意の松明をあげて、真暗な底を窺っていると、下から救いを呼ぶ声が遠く聞えた。安行は知らず、兎にかく市郎だけは穴の底にいることが確められた。
七兵衛は引返して斯くと報告すると、他の人々もどやどや入込んで来た。
「兎も角も降りて見よう。」
巡査は斯う決心して、再び四辺に鋭い眼を配ると、岩角に結び付けられたる彼の長い毛綱を見出した。これを手繰ったら、市郎の身体は無事に引揚げられたかも知れぬが、其綱の端が彼の胴に縛られてあると云うことを誰も知らなかった。が、何人の考えも同じことで、巡査も先ず此の毛綱に縋って、行かれる所まで行って試ようと思い付いた。
片手は綱に縋り、片手は松明を把って、塚田巡査は左右の足を働かせながら、足がかりとなるべき大小の岩を探りつつ、漸次に暗い底へ降りて行った。