Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
(三十九)
敵は一人ではないらしい、大小の岩石が一時に上から落ちて来た。何人も此の石攻めに逢っては堪らぬ、市郎も実に途方に暮れた。頭の上では何とも形容の能ぬ一種奇怪な笑い声が聞えた。石はつづいて落ちて来た。
「どうしたら可かろう。」
此のまま小さくなっているのも愚である。何とかして彼等を撃退する工夫はあるまいかと、市郎も苦し紛れに種々考えていると、わが傍らにひらりと飛んで来た者があるらしい。※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)め、近寄って来たなと、市郎は直ちに用意の燐寸を摺った。果して一人の敵は刃物を振翳して我が眼前に立っていた。
不意に燐寸の火に出逢って、敵は例の如く立縮んで了った。其隙を見て、市郎は我が足下に落ちたる大石を両手に抱えるより早く、敵の真向を目がけて力任せに叩き付けると、頭が割れたか顔が砕けたか、敵は悲鳴をあげて倒れた。
(三十九)
目前の敵を一人殪したので、市郎は少しく勇気を回復した。敵もこれに幾分の恐怖を作したか、其後は石を降らさなくなった。が、彼等は何処に隠れているか判らぬ、又何時不意に近寄って来るか判らぬ。斯う思うと些とも油断が能ぬので、市郎は絶えず八方に気を配っていた。