Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
(四十二)
これで先ず屍体の収容は済んだ。三個の亡骸を窟の外へ舁き出して明るい所で検視を行うと、安行の屍体には何等負傷の痕も無く、其顔は依然として安らかに眠っていた。が、お杉の瞋れる顔は宛然の鬼女であった。加之も高い所から再三転げ落ちて、剣の如き岩石に撃れ劈かれたので、古い鳥籠を毀したように、身体中の骨は滅裂になっていた。
更に人を駭かしたのは、彼の山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の最期であった。幾百年の昔から、口でこそ山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)と云うけれども、誰も明白に其形を認め得た者は無かった。然るに今や白昼に其の怪しき形骸を晒したのである。白昼に幽霊が出たように、人々は驚異の眼を瞠って、何れも其の周囲に集り来った。
(四十二)
此に怜悧な観世物師があったら、直に前代未聞と吹聴すべき山なるものの正体は抑何んなであったか。勿論、彼等にも牝牡はあろうが、今ここに屍体となって現われたのは、確に女性であった。脊丈は先ず四尺ぐらいで、腰に兎の皮を纏っている他は、全身赤裸々である。鮫のように硬い皮膚の色は一体に赭土色で、薄い毛に覆われていた。