Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
(五十二)
で、兜は警官の手に渡して、二人は早々下山の途に就いた。
やがて麓に近いた頃、忠一は唯ある樹根に腰をかけて草鞋の緒を結び直した。巡査は之を待つ間に不図何を見出したか、忽ち疾風の如くに駈け出して、あなたの岩蔭へ飛び込んだ。忠一は呆気に取られて見送っていると、霎時して巡査は悄々引返して来た。
「何うしたんですか。」
「今あの岩の蔭に重太郎の隠れているのを見付けましたから、直に追掛けて行ったのですが、彼奴中々足が捷いので、忽ち見えなくなって了いました。残念なことを為たです。」
巡査は酷く口惜そうであった。
(五十二)
それから又二三日過ぎた。忠一は実家と角川家との間を往来しながら、熱心に飛騨の古い歴史を研究して、飛騨判官の伝記及び彼と蒙古との関係を明白にすべく努めていた。
一時は口も利かれぬ程の重態であった坑夫体の負傷者も、医師の手当に因て昨今少しく快方に向ったので、警官は直ちに取調を始めた。彼は中々の横着者で、最初は兎角に自分の素性来歴を包もうと企てたが、要するに其れは彼の不利益に終った。彼が不得要領の申立をすれば為るほど、疑惑の眼はいよいよ彼の上に注がれて、係官は厳重に取調を続行した。