Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
で、或時係官がお杉と重太郎との身上に就て彼に語り聞かせて、お前を傷けた当の相手は恐く行方不明の重太郎であろうと告げるや、彼は俄に色を変えて、「然う云えば過日、虎ヶ窟で見付けた婆の死骸は何うもお杉に肖ていると思いましたよ。悪いことは能ねえもんだ。私は実の倅に斬られたんです。」と、此に初めて自分の暗い秘密を打明けた。
彼は重太郎の父の重蔵であった。今から殆ど三十年以前に、彼は角川家を出奔して、お杉と共に諸国を流浪して歩いた。が、頼むべき親戚もなく、手に覚えた職もないので、彼は到る処で種々の労働に従事した。其間にも酒や博奕や女狂いや、悪い道楽は何でも為尽した。斯うなると、二人が仲にも温かい春の続こう筈はない。年上で嫉妬深いお杉は、明暮に夫の不実を責めて、或時はお前を殺して自分も死ぬとまで狂い哮った。重蔵は愈よお杉に飽いた。が、蛇の申子と噂された程のお杉の執念は、飽までも夫に附纏うて離れなかった。彼は幾度かお杉を置去りにして逃げようと企てたが、何日も不思議に其の隠れ家を見付出された。
「妾を捨てて逃げるような料見だから、お前さんは一生涯碌なことは無い。終局には必然酷い死様をするよ。