Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
忠一も一旦は悸然としたが、猶其の様子を見届ける為に、倒れたる女を抱え起して、比較的薄明るい門口へ連れ出して見ると、正しく女には相違ないが、もう息は絶えていた。
「これは一体何者だろう。」
彼は猶能く其顔を見届けようと、朧の雪明を便宜に凝と見詰めている時、忽ち我が背後に方って物の気息を聴いたので、忠一は驚いて屹と顧ると、物の音は又止んだ。雪風はいよいよ吹き募って、此の一軒家は大地震のようにめりめりと揺いだ。
内には此女の他にも未だ何者か倒れて居る筈であるから、忠一は再び探りながら入った。が、不意に何んな敵が襲って来ぬとも限らぬので、彼は大いに用心して、土間に身を伏して這いながら進んだ。微な唸声が左の隅に聞えたので、彼は其方へ探って行くと、一枚の荒莚が手に触れた。莚を跳退けて進もうとすると、何者か其莚の端を固く掴んでいるらしい。更に探って見ると、果して此処にも人らしい者が拳を握って倒れていた。
と思う途端に、又もや背後に物音が聞えた。暗い中から猿のような者が刃物を閃かして来て、忠一の頸を刺そうとするのであった。はッと驚くと同時に、彼は幸いに這っていたので、矢庭に敵の片足を取って引いて、倒れる所を乗掛って先ず其の胸の上に片膝突いた。