Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
(九)
唯暫時は黙って睨んでいると、老女は何と感じたか、黄い歯を露出して嫣然笑いながら、村境の丘の方へ……。姿は煙の消ゆるが如くに失せて了った。
市郎は夢のように其の行方を見送っていると、トムの声を聞き付けて、この家の下男も内から出て来た。其話によると、彼の怪しの老女は北の山奥に棲むお杉という親子連の乞食であると云う。乞食とあれば是非もないが、何だか唯者では無いように市郎は感じた。
「あれは山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の女房だとも云いますよ。」と、下男は更に低声で囁やいた。
(九)
「トムは何を吠えていたのだ。」
市郎が旧の座敷へ戻って来ると、安行は煙草を喫みながら徐に訊いた。
「いや、表に変な女が立っていましてね。後で聞けばお杉とか云う乞食だそうで……。」
「ああ、お杉ですか。」と、お政母子は眉を顰めて首肯いた。
「何です、彼女は……。頗る変な奴ですね。狂人でしょうか。」
「さあ、幾らか気も変になっているか知れないが、所謂狂人と云うのでも無いようだ。」と、安行は考えて、「彼女も俺の家に満更縁が無いでも無いのだ。お前も知っているだろう。」