Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
其火に対って孑然と胡坐を掻いているのは、二十歳ばかりの極めて小作りの男であった。
何処やらで滝の音が聞えて、石燕が窟の前を掠めて飛んだ。男は燃未了の薪を把って、鳥を目がけて礑と打つと、実に眼にも止らぬ早業で、一羽の石燕は打つに随って其手下に落ちた。男は拾うより早くも其羽を毟り取って、燃える火に肉を炙った。
やがて落葉を踏む音して、お杉婆は諷然と帰って来た。男は黙って鳥を咬っていた。二人共に暫時は何の詞をも交さなかったが、お杉の方から徐に口を切った。
「重太郎。何か他に喫べる物は無いか。」
男は彼女の倅の重太郎であった。其風采は母と同じく異体に見えたが、極めて無邪気らしい、小児のような可愛い顔であった。髪を蓬に被った頭を掉って、
「何にも無いよ。」
一日や二日の断食は此母子に珍しくもないらしい。お杉は唯首肯いて其処に坐ったが、俄に思い出したように少しく詞を改めた。
「重太郎。お前に少し話して置きたい事があるのだ。」
「阿母さん、何だ。」
「妾は既う十日の中に死ぬかも知れない。死んだら必然仇を取ってお呉れよ。」
「可いとも……。どんな奴でも、俺ア必然仇を取って与る。