Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme

Aozora Bunko

現に先き頃も、分別ありげな隊長にひきいられたボーイスカウトとやらの一団が、煮炊きにでも使うことか、山のように伐り集めた俺たち仲間を、キャンプ・ファイアとか称して、惜しげもなくボーボー燃やしては、夜ふけまで歌い騒いだ顛末を、塒を追われて、充血した目の茅潜りの小母が、くやしがって、「教育なんて怪しいものだね」と、俺に訴えたことだ。

ただしここで、誤解をしないように願いたい、というのは、学術上の研究とか、あるいは人助けとかいった、立派な目的のためなら、俺たちは喜んで、身命を捧げる覚悟は持っているつもりだし、又そうした実例も決して稀な事ではない。ただ生物として、天賦の貴い生命を、むざむざ犬死させたくない、種族を絶滅させては申しわけない、というそれだけの話なのだ。

――そう言えば、こんな事もあったナァ。あれは……と、早いもので、もう五十年近くも前になろうが、ある夏、この山裾に近い伊那地方の小学校の一団が、ついこの尾根一つ向うで、折悪しくも暴風雨のため遭難した。それも、あろう事か、あったら三十幾人という双葉の生命が、先生もろとも、一挙に山上の露と消えてしまったのだ。