Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
なぜといって、常識的な物の見方から一歩も踏み込まないなら、芸術などという深味のある仕事は、できるはずのものでなかろう。誰が何と言おうと、俺はあの男を信じている。
星からすの挿図
彼に画像を描かれてから、俺は今、一年中でいちばんせわしい時季だというのに、すっかり物思いにとらわれて、松毬の丹精など大切な仕事さえ、とかく手につかず、いつになく古い事まで思い起したり、今まで考えたこともない難かしい問題に思いあぐんだり、知らぬ間に、自分で自分を横から眺めるような心持ちになったり……しているのに、ふと気づいては、驚きもし、またあきれもする始末だ。これではあの目細君に、「お前まで気が変になったのか」ぐらい言われ兼ねまいと、おかしくもなる。――ええままよ、どうせいそがしついでだ。これも生れて初めての、得難い経験というものだろう。
寡聞の俺は、われら偃松が、絵画や文芸の主題になったというのは、まだ聞いたことがない。この山にも文人、画家はずいぶん来ているようだけれど、われら偃松には、たいして心を寄せるでもないらしい。むろんあの老画家は、ああした風だから、きっと方々でわれわれを描いているに相違ないが、今度俺が選ばれたのは、又とない機会だ。