Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
――実は案外そうでない、と俺は考える。こう言っては、ちと口はばったいきらいもあろうが、人間といい、俺たち草木といい、畢竟ずるに、共に土の子で、日を慕い、天に憧がれる……やはり切ってもきれぬ、同根の間柄ではなかろうか。人間の方でも……少なくもあの男などは、その辺の消息をよくわきまえているかと思われる。――あるいは俺がこんな事を考えるのからして、いくぶん彼にかぶれたのかも知れぬが。
彼はどういうものか、われら偃松に、格別の愛着を持っているらしく、俺たちをただ無下に、劣等な生物などと、さげすむような、そんな思いあがった人間とは、およそ訳がちがうことを、俺は直かにこの眼で見てとった。そうかといって、俺がそのためいい気になって、彼に甘えている――などと思ってくれるな。もともと人が思うほど、俺たちは無知でも非情でもないつもりだが、さて彼のように扱われて見ると、いい気どころか、かえって俺は謙虚に陥り、今さらおのれの不敏が省みられ、又憐れまれもする。しかも、こうした彼の心馳せは、何もわれら偃松に限ったことか。この浄界における万象が、ことごとく彼の心に景仰の情を呼び起すものであることも、又彼がそこから、好意の目をもって見守られていることも、今ではだんだん俺にも解ってきている。