Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme

Aozora Bunko

小さな羽虫の類飛びかい、画面に附着して困る。しかし次の日はどんよりして、軒の氷柱しずくを落す。この日、ゴトゴト……というような声を向う山に聞く。Yによればトチコロバシという鳥で、よくただすと啄木鳥の類か。これが鳴くと雨が近いという。それも当って、暮れ方細雨から雪となり、翌一日降った。しかしそういう日も、またいい。スキーで新雪の傾斜を辷り歩くのもよく、輪を着けて兎の跡を追い、林間を逍遙するのも楽しい。椈の大樹が雪を装った姿、常盤木の枝重たげなのも美しい。雪中の木々を小品に描く。山樹の面白さはことにその根元にあり、皆一度屈して又伸びたくせを持つ。そこに雪に耐え、山にすがる、彼らの生立ちがマザマザと見えて感深い。

五日は最高の快晴。夜来勁風十四日の月を払い、遠山近嶺ひるをあざむくばかり、それだけ寒さは厳しい。暁の明星大光芒を放ち、北斗大棟に立つ。風止んで一天雲を見ず。三山朝暉鮮かに、空色深碧、日射あまりに強きに苦しむ。殊に近い雪面からの反射で眩しさ甚だしく、Yに蓆をその辺にひろげてもらって、からくも防ぐ。あまりの好日に、筆をおく暇なく、ついに昼飯を廃す。