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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme

Aozora Bunko

雪やみ薄日さす。楢の芽を兎の食い荒した跡、かけすに似た鳥三羽、こずえに遊ぶ。雪ややふっくりして来る。碧空あらわれ、日ざし強まる。眺望開けて、天狗原、乗鞍の一角間近く、八方尾根に黒菱小屋も指点される。御殿場小屋は無人。戸外の方暖かく、歩くと暑いくらいだ。樺の山際と碧空とが、強烈に境する。

茫々たる神の田圃で、ふと前年五月描いた大きな白檜が見当らないと思うと、傍らの二、三尺の稚木に妙に覚えがある……これがあの大木の梢だったと気づけば、身は丈余の雪上にあるのを忘れたかと笑止。山腹を横さまに登る辺、白馬本山雲を脱して現われ、蒼古の白檜雪をにない、さるおがせ垂氷をおびていよいよ長い。

栂池小屋は二階まで雪中。階下に水汲みに行けば、真暗な天井や柱が細かい氷片を飾って、何か物語りめく心地。二階の窓近く白檜の老樹、小揺れる枝幹から雪を吹く。天紅いに夕映え、時に暗雲破れて白馬主峯を仰ぐ。夜来の風、朝に及んで激しく、天は美晴。東天金星輝き、下弦の月、白馬峯頭に白毫の光りを添う。白馬連山、南国の果実の色を染め、ようやく覚めるや、空も紫気を払って碧光冴え、月萎んで蒼白。