Japanische Klassiker mit Furigana
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
Lesen Sie おごそかな渇き (おごそかなかわき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.042 Zeichen · 71 Bildschirme
医師はそっと眼をつむり、灰色の髪の薄くなった頭を左右に振った。
「いや」と医師は眼をあけて、煤だらけの天床を見あげながら云った、「人間も同じようなものだと云いたかったのさ、非行少年少女の指導には規準がない、両親の放任主義のためだとか、躾がきびしすぎたとか、環境のためだとか、社会が悪いからだとか、貧困のためだとか、金に不自由しなかったのがぐれたもとだとかね、――竹中くん、これらの条件を全部削除したらどうなると思うかね」
竹中啓吉は考えこんだ。
「そこにはもう人間らしい存在はない、人間はよき指導によってよくなるのでも、悪くなるのでもない、それは一人ひとりの欲望によるのだ、と私は思うんだがね」
「それじゃあ」と竹中は口ごもった、「――うっちゃっとけというのかね」
「きみは娘の親だ」
「たった二人っきりの親子さ」
「私は独身だ」と村田医師は云った、「かつては妻も子もあったが、いつか話したとおり、きみのような心配をするまえに、二人とも死んじまった、だから、――いま云った以上のことは、なにも助言をするわけにはいかないんだよ」
竹中啓吉が云った、「酒を飲むかね」
「神は人間に命を与え、それを奪いたもう」