Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おごそかなかわき

おごそかな渇き

山本 周五郎

Lesen Sie おごそかな渇き (おごそかなかわき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.042 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

そこでりつ子はくっくと笑った、「――からかわれてると思うのね、だから夏になると、なおさらよ、その鳥の鳴くあいだじゅう、いつも怒ってばかりいたわ」

ぴっぴではねえと、松山隆二は微笑し、ゆっくりと頭を横に振った。小鳥の鳴き声でさえ、ときにはひとりの人間の、怒りをかきたてることができたのだ。きよきよちゃんたらぴっぴか、彼はもういちど頭を振り、そっと微笑した。

――そうだ、ブラウン運動に似ているな。

斜面を登ってゆきながら、松山隆二は考えた。

――ヨブなどをもちだすことはない、水中へ花粉を落すと、水を構成する分子に突き当り、花粉の粒子は不規則な運動を休みなしに続けるという、植物学者ブラウンの発見した現象のほうが、人間社会のありかたを、さらによく暗示しているじゃないか。

善と悪、是と非、愛と憎しみ、寛容と褊狭など、人間相互の性格や気質の違いが、ぶっつかり合って突きとばしたり、押し戻してまた突き当ったり、休みなしに動いている。こういう現実の休みない動きが、人間を成長させるのだ。水を構成する分子の抵抗があるからこそ、花粉の粒子の運動があるように、無数の抵抗があるからこそ人間も休まずに成長し、社会も進化してゆくのだ。