Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おごそかなかわき

おごそかな渇き

山本 周五郎

Lesen Sie おごそかな渇き (おごそかなかわき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.042 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

本間の床の間には、大きな白紙に島田麻太という、新生児の名が貼ってあった。

「あれを見ろよ」と竹中啓吉が云った、「――さっき村長は麻太って披露した、嘘だ、――姉娘は江梨といったろう、あれはエリヤだし、こんどの麻太はマタイだ」

「それはなんのことだえ」と相手は訛りの強い土地の言葉で云った、「エリヤとかマタイとか、おらにゃあちんぷんかんぷんだ」

「隠居さんが蒙世っていう俳号を持ってるが、あれはモーゼのことさ、死んだ女隠居はこのうちへ来てから満里と名を変えたそうだが、これは紛れもなくマリアさ」

「やっぱりおらにゃあちんぷんかんぷんだ」と相手は首を振って云った、「エリヤだとかマタイだとかって、いってえそれはなんのこったね」

「みんな聖書に出てくる名めえさ」

「聖書ってなあなんだ」

「毛唐のお経みてえなもんさ」

「なんみょうほうれんげきょうかえ」

「まあそんなもんさ」竹中啓吉はうんざりしたように首を振った、「まあそんなものさ、酒がねえようだぜ」

「なんだかよくわかんねえが」と相手の男が云った、「そうすると、おめえも、そんな毛唐のなんみょうれんぎょうに詳しいとすると、おめえも隠れキリシタンだかえ」