Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おごそかなかわき

おごそかな渇き

山本 周五郎

Lesen Sie おごそかな渇き (おごそかなかわき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.042 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうらしいね、黒いだけではなく、よく見ると点々があるんだけれどね」

「あ、またあそこにいるわ、あそこにも、すばしっこいのね」

「いいね」と彼はいった。

大小さまざまな石と、透きとおるような水の流れと、その中を活溌に泳ぎまわる魚と、それは自然の活きている証しそのもののようにみえた。

「ああ、あったかい」りつ子は食いかけのむすびを持ったまま、河原へ仰向けになった、「まるで春のようだわ」

そのとき半袖のブラウスの腋から、茶色っぽい腋毛が見え、隆二はいそいで眼をそらした。

「風邪をひくぞ」

「だいじょぶよ」とりつ子は云った、「あの峠ひとつ越しただけで、こんなにあったかいのね、ああいい気持」

せきれいが一羽、ちちと鳴きながら、河原の乾いた石から石へ飛び移っていた。

――こんな静かなけしきがいつまで続くんだろう、と松山隆二は思った。

坂の勾配が急になり、ゆるやかになり、川に沿ったり離れたりしながら、しだいに里のほうへおりていった。枯草のあまやかな匂いや、杉や檜のさわやかな香りが、空気を濃く染めていた。

「聞くのを忘れていたけれど、東京に知っている人でもいるの」

「うん」