Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
と気づかわしそうに言い残されたまま、その日は父も急いで下山なすった。
それから数刻と立たないうちに、大門の外に突然人どよめきがし出した。とうとうあの方が入らしったのだろうと思うと、私はますます一人でもってどうしたら好いか分からなくなってしまった。今度はあの方も遠慮なさらずにずんずん御はいりになって入らっしゃるようなので、私は困って几帳を引きよせて、その陰に身を隠しはしたけれど、もうどうにもならなかった。其処に香や数珠や経などが置かれてあるのをあの方は御覧なさると「これは驚いた。まさかこんなにまで世離れていようとはおれも思わなかった。若しかしたら山を下りられはすまいかと思ってやって来て見たが、これでは山を下りでもしたら罰があたるだろう。――どうだ、大夫、お前はこうしているのをどう思っているな」と傍にいた道綱をお振り向きになって尋ねられた。「大へん苦しゅうございますが、いたし方がござりませぬ」と道綱は打ち伏したまま答えた。「かわいそうに」とあの方は仰ゃられながら「じゃ、とにかくお前がお母あ様に出ていただきたいと思われるなら、車をこちらへ寄こしてくれ」