Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
もっとも尿の量は病気の性質として、極めて少なくなった。医者はそれを苦にした。食欲も次第に衰えた。たまに何か欲しがっても、舌が欲しがるだけで、咽喉から下へはごく僅しか通らなかった。好きな新聞も手に取る気力がなくなった。枕の傍にある老眼鏡は、いつまでも黒い鞘に納められたままであった。子供の時分から仲の好かった作さんという今では一里ばかり隔たった所に住んでいる人が見舞に来た時、父は「ああ作さんか」といって、どんよりした眼を作さんの方に向けた。
「作さんよく来てくれた。作さんは丈夫で羨ましいね。己はもう駄目だ」
「そんな事はないよ。お前なんか子供は二人とも大学を卒業するし、少しぐらい病気になったって、申し分はないんだ。おれをご覧よ。かかあには死なれるしさ、子供はなしさ。ただこうして生きているだけの事だよ。達者だって何の楽しみもないじゃないか」
浣腸をしたのは作さんが来てから二、三日あとの事であった。父は医者のお蔭で大変楽になったといって喜んだ。少し自分の寿命に対する度胸ができたという風に機嫌が直った。傍にいる母は、それに釣り込まれたのか、病人に気力を付けるためか、先生から電報のきた事を、あたかも私の位置が父の希望する通り東京にあったように話した。