Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
奥さんは昔同じ病気で死んだという自分のお母さんの事でも憶い出したのか、沈んだ調子でこういったなり下を向いた。私も父の運命が本当に気の毒になった。
すると先生が突然奥さんの方を向いた。
「静、お前はおれより先へ死ぬだろうかね」
「なぜ」
「なぜでもない、ただ聞いてみるのさ。それとも己の方がお前より前に片付くかな。大抵世間じゃ旦那が先で、細君が後へ残るのが当り前のようになってるね」
「そう極った訳でもないわ。けれども男の方はどうしても、そら年が上でしょう」
「だから先へ死ぬという理屈なのかね。すると己もお前より先にあの世へ行かなくっちゃならない事になるね」
「あなたは特別よ」
「そうかね」
「だって丈夫なんですもの。ほとんど煩った例がないじゃありませんか。そりゃどうしたって私の方が先だわ」
「先かな」
「え、きっと先よ」
先生は私の顔を見た。私は笑った。
「しかしもしおれの方が先へ行くとするね。そうしたらお前どうする」
「どうするって……」
奥さんはそこで口籠った。先生の死に対する想像的な悲哀が、ちょっと奥さんの胸を襲ったらしかった。けれども再び顔をあげた時は、もう気分を更えていた。