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Japanische Klassiker mit Furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

も望む通りにさせてやるから、女給をやめるようにと勧めたが、君江は将来自分でカッフェーを出したいから、もう暫く女給をしていたいと言った。それならば本場の銀座へ出て経験をした方がよいと、池ノ端のサロンは一カ月あまりで止めさせ、半月ばかり京阪を連れ歩いた後、清岡は人を介して、銀座では屈指のカッフェーに数えられている現在のドンフワンに君江を周旋した。間もなく入梅があけて夏になり、土用の半からそろそろ秋風の立ち初める頃まで、清岡は何一つ疑う所もなく、心から君江に愛されているものとばかり思込んでいた。ところが或夜二、三の文学者と芝居の帰り、銀座に立寄って見ると、君江は急に心持がわるくなったと言って夕方から店を休んだという事を、他の女給から聞き、友達にわかれてから、一人本村町の貸間へ病気見舞いに行こうとした時、いつも曲る濠端の横町から、突と現われ出た女の姿を見た。まだ十二時前ではあったが、片側町の人家は既に戸を閉め、人通りも電車も杜絶えがちになった往来には円タクが馳過るばかり。清岡は四、五間こちらから、白っぽい絽縮緬の着物と青竹の模様の夏帯とで、すぐにそれと見さだめ、怪訝のあまり、車道を横断して土手際の歩道を行きながら女の跡をつけた。