Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
それにあなたのお生れになった月日から見ますと、遊魂巽風の卦に当ります。これは一時お身の上に変った事が起っても、その変った事が追々元の形に立戻るという卦であります。この卦から考えて見ますと、現在のお身の上は一時変った事の起った後、追々もとのようになって行こうという間のように思われます。天気に譬えて申上げれば暴風のあった後、その名残りがなかなか静まらない。しかし追々静になって、やがてもとの天気になろうというその途中だと申したらよいでしょう。」
君江は膝の上に肩掛を弄びながらぼんやり易者の顔を見ていたが、その判断は全くその身に覚えがない事ではない。どこか当っている処があるので、何となく気まりのわるいような心持で再び伏目になった。一時身の上に変った事があったと言うのは、大方両親の意見をきかず家を飛出し、東京へ来て、とうとう女給になった事だろうと思ったのである。
君江が家を出たわけは両親はじめ親類中挙って是非にもと説き勧めた縁談を避けようがためであった。君江の生れた家は上野停場車から二時間ばかりで行かれる埼玉県下の丸円町にあって、その土地の名物になっている菓子をつくる店である。