Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
当てにはならん。」
「アラ、そんな事をおっしゃるもんじゃありません。」
「むかしから頼みにならない事を、君寵頼み難し。老健頼み難しなどというじゃないか。はははは。進は相変らず達者か。」
「はい。おかげさまで。」
「その中ちょっと逢いたいと思う事があるのだ。実はこの間偶然電車の中でお宅の御兄さんにお目にかかってな……。」と老人は言いかけて咳嗽をしながら眼鏡越しに鶴子の顔を見た。鶴子はかえってさり気なく、
「何か、わたくしの話が出ましたの。」
「そうだ。わるい話ではない。お前の戸籍をこの後どうして置くかというはなしさ。なりはじめの事はもうとやかく言った処で仕様のない事だからな。成事は説かず、遂事は諫めず、既往は咎めずという教もあるから、わしはいずれにしても異存はないと申上げて置いた。お前の家とわしとが承知なら、進は無論何とも言うはずはないわけだから、どうだね。早くその手続をしてしまったら、届書は区役所の代書にたのめばすぐ出来るから、印さえ押せばそれでいいのだよ。」
「はい。帰りましたら早速そう申します。」
「戸籍などはどうでもいいようなものだが、しかし人倫の道は正しいに越した事はない。